オキシトシンとすまいの関係– What is oxytocin –

オキシトシンとは、脳内の「視床下部」で生成され「下垂体後葉」から分泌されるホルモン。子宮収縮・分娩(ぶんべん)促進の作用で知られています。
オキシトシンは神経伝達物質としても働き、ストレス軽減記憶力向上といった効果を発揮することも、近年の研究でわかってきました。「愛情ホルモン」「ハッピーホルモン」とも呼ばれるオキシトシンを活用すれば、仕事や勉強の成果を高められそうですね。

 【グランレーヴ】が考えるすまいの空間演出デザインとオキシトシン効果について

・親子がつながる 
・家族がつながる 
・ペットとつながる 

そのどれもがストレスから解放され、身体を労わる効果があるとされています。 
しかも五感に働きかけることが報告されています(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚) 。
すまいづくりでも同様に、空間演出デザインにこだわることで、五感に働きかけ “気に入った家にすまう” ことがストレスフリーとなり、居心地良い空間を家族と一緒に共有出来るものと考えています。その為にリビングとガーデンスペースを繋げる事や、平屋ならではの動線確保に重視したプランづくりに配慮します。
お客様との打合せやご相談の際には積極的にすまいの空間演出デザインとオキシトシン効果にこだわってまいります。 
モデルハウスで、メール問合せで、オンラインにて色々お話しください。 

「愛情ホルモン」オキシトシンとは

オキシトシンとは、9個のアミノ酸で構成されるぺプチドホルモン(複数のアミノ酸から成るホルモン)の一種。脳内の視床下部で生産され、脳下垂体から分泌されます。そして、脳や身体の広範囲に働きかけ、さまざまな作用をもたらすのです。

オキシトシンが発見されたのは1906年。発見者は、英国の脳科学者ヘンリー・デール氏です。当時は、出産時に子宮を収縮させたり、母乳の分泌を促したりといった作用しか知られていなかったため、ギリシャ語で「早い(okys)出産(tokos)」を意味するオキシトシン(Oxytocin)と名づけられました。

つまり、オキシトシンは「出産を早める物質」として認識されていたのです。オキシトシンは現在でも陣痛を誘発するために使用されています。

オキシトシンの効果

神経伝達物質としてのオキシトシンは、脳内のオキシトシン受容体に作用し、さまざまな効果をもたらします。具体的に見てしましょう。

幸せを感じられる

オキシトシンの効果として真っ先に挙げられるのが、「幸福感」をもたらすこと。親しい相手と触れ合ったり、かわいい動物を見たりすると、心が癒やされますよね。このような「幸せになる」「愛に満たされる」感覚こそ、オキシトシンの代表的な効能です。

生理学者の有田秀穂氏によると、オキシトシンが増えることで「セロトニン神経」が刺激され、神経伝達物質のひとつ「セロトニン」が分泌されるのだそう。セロトニンは精神的な安らぎをつかさどっているため、セロトニンの分泌量が増えると、ホッと癒やされるような幸福感を得ることができます。温泉に浸かっているときの “極楽気分” や、喫茶店でリラックスしているときの至福感などは、セロトニンによるものです。

ほかにも、オキシトシンは、感情に関係する「前頭前野」や「偏桃体」といった脳の部位と深く関わっています。そのため、オキシトシンが不足すると、精神のバランスが乱れる恐れがあるのです。

ストレスが軽くなる

2つめの効果は、ストレスの軽減です。

ストレスとは、外部からの刺激に対する防衛反応によって生じるもの。緊張すると心臓が高鳴るのは、ストレスホルモン「CRF」が分泌され、身体が臨戦態勢になるためです。

そして、この防衛反応が過剰になると、胃が痛くなる、イライラするといった悪影響が生じます。いわゆる「ストレス過多」の状態です。

オキシトシン研究の第一人者である医師・高橋徳氏によると、オキシトシンには、上記のような防衛反応を適度に抑制する働きがあるのだそう。ストレスに過剰反応してしまった身体をなだめ、平常の状態に戻してくれるのです。

高橋氏は、オキシトシンとストレスの関係について実験を行ないました。「オキシトシンの分泌をブロックしたマウス」と「オキシトシンを注入したマウス」を比較したところ、前者には暴れ回ったり下痢をしたりといったストレス過多の症状が見られた一方、後者には目立ったストレス反応がなかったそう。

英ブリストル大学が1997年に発表した論文でも、オキシトシンがストレスホルモンの分泌を抑制することが示されています。そのため、オキシトシンの分泌量低下は、ストレスの増加につながりかねません。

他者への信頼感が高まる

オキシトシンには、他者への信頼感を高める役割もあります。

神経科学と経済学を組み合わせた「神経経済学」の専門家であるポール・J・ザック氏は、オキシトシンと信頼感情の関係についての実験結果を2008年に報告しました。初対面の被験者どうしをペアにし、以下のような「信頼ゲーム」に取り組ませたのです。

  • 被験者Aは、被験者Bに対し、10ドル以下で好きな金額を “投資” する
  • Bは、Aが決めた額の3倍を受け取る
  • お礼として、Bは好きな金額をBに返す。ゼロでも可

つまり、「相手は自分にたくさんお礼してくれるはず」と信じているほど、AがBに “投資” する額は大きくなるはず。そして、血中オキシトシン濃度を測定し、鼻から吸うオキシトシンスプレーも使用したところ、オキシトシンの値が高くなるほど相手への信頼度合いも高くなることがわかったそうです。

オキシトシンは、他者を信頼し、良好な人間関係を築くのに必要なものなのですね。なかなか他人に親しみを抱けず、不安にとらわれがちな方は、オキシトシンが欠乏しているのかもしれません。

記憶力が向上する

意外かもしれませんが、オキシトシンは記憶力にも深い関わりをもっています。

2000年、神経科学者のトーマス・L・インゼル氏らは、「オキシトシン分泌機能がないマウス」をほかのマウスと一緒にケージに入れて実験しました。本来なら、マウスは、別のマウスに会うと初回は40秒ほどにおいをかぎ、会う回数を重ねるごとに、かぐ秒数を減らしていきます。しかし、「オキシトシン分泌機能がないマウス」の場合、同じマウスに何度会っても、においをかぐ時間は40秒のままでした。

つまり、オキシトシンの不足が原因で、相手のマウスをいつまでも記憶できなかったのです。このように、相手のことを認識し記憶する能力は「社会性記憶」といい、オキシトシンが特に深く関与していると考えられています。

社会性記憶は、円滑な社会生活を営むうえで不可欠なもの。上で述べた「他者への信頼感」にもつながります。通常なら、同じ人と何度も会ううち、相手の人柄や特徴を記憶して、信頼感や好感がしだいに増していくもの。しかし、社会性記憶が弱いと、何度会っても初対面のような状態で、信頼関係が一向に深まらないのです。

以上の4つのほか、睡眠や免疫といった健康面においてもオキシトシンは関与しています。

オキシトシンの分泌を増やすには

人間社会で幸福を感じながら生きていくにあたり、オキシトシンは必要なもの。オキシトシンの分泌を増やすにはどうすればいいのでしょうか? 具体的な方法を紹介するので、オキシトシンが少ない人は試してみてください。

ペットや家族とのタッチ&ハグ

オキシトシンの分泌を促進する代表的な方法は、スキンシップ。オキシトシンは肌への「感覚刺激」によって分泌されやすいと、多くの研究が示しています。前出のザック氏らが2012年に発表した論文でも、15分の背中マッサージによる血中オキシトシン濃度の増加が確かめられました。

背中などをなでることで心身を回復させる「タッチセラピー(タッチケア)」は、医療や介護の現場でも導入されているほど効果的です。マッサージの場合は1分間に40回、肌をなでる場合には1秒間に5cmというペースを意識すれば、オキシトシンが分泌されやすくなります。

ちなみに、2016年に放送されたテレビドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』では、毎週火曜日に必ず1回はハグをするという「ハグの日」が登場し、話題になりました。オキシトシンの分泌という点から見れば、とても効果的な習慣だと言えるでしょう。

【スキンシップの例】
・家族や友だちとハグをする
・ペットと遊ぶ
・赤ちゃんや子どもを抱っこする
・マッサージ店に行く

猫や犬の動画を見る

米国の学術専門団体・アメリカ化学会が制作した動画「How to Stay Awake Without Caffeine」によると、猫や子犬といった愛らしい動物を見るだけでも、オキシトシンの増加が期待できます。YouTubeには動物の動画がたくさんアップロードされていますから、リフレッシュしたいときに活用してみましょう。

やわらかいものに触る

動物に限らず、クッションなどやわらかいものを触ることでも肌感覚が刺激され、オキシトシンを増やせます。心理学者の山口創氏によると、私たちが最も心地よく感じるのは、「毛足の長いやわらかなもの」に「秒速5cm」で触れたときなのだそう。クッションやラグマット、ぬいぐるみなどをゆっくりとなでるだけで、癒やし効果が得られるというわけです(ぬいぐるみ療法)。

【やわらかいものに触れる例】
・クッションを抱きしめる
・やわらかい部屋着・下着を身につける
・ラグマットに寝そべる
・ぬいぐるみをなでる

食事や会話を楽しむ

オキシトシンを増やすには、人とのおしゃべりや食事も効果的です。前出の生理学者・有田氏によれば、狭い居酒屋や肩を寄せ合うようなカウンター席など、身体的な距離が近づく環境だと特に効果が高いのだそう(※ただし、2020年8月現在は、いわゆる「三密」をなるべく避けてください)。

また、温泉や銭湯で大勢の人と一緒に入浴することもおすすめ。ほかのお客さんと言葉を交わすことはなくても、無防備な姿で同じ空間にいること自体が一種のコミュニケーションになり、癒やしの効果を生むのです。

このように、人が一箇所に集まってコミュニケーションを楽しむことを「グルーミング」と呼ぶことがあります。グルーミングとは本来、動物が毛づくろいし合うことを指しますが、人間にとってのグルーミングは会話などでのコミュニケーションだ、という考えがあるのです。一人暮らしの人は特に、意識してグルーミングの機会を設けるといいでしょう。

【グルーミングの例】
・家族と食卓を囲む
・友だちと居酒屋へ行く
・温泉や銭湯に入る
・友だちと集まり運動する

瞑想をする

オキシトシンの作り方として最後にご紹介するのは、「慈悲の瞑想」という方法。大切な人や自分自身の幸せを願う瞑想法です。

有田氏によると、慈悲の瞑想は、喜びや感謝といったポジティブな感情を高めてくれるため、オキシトシンの分泌促進効果があるのだそう。手順は以下のとおりです。

1.椅子にゆったり腰かける
2.呼吸だけに意識を集中する
3.大切な人を思い浮かべ、「あなたが健康になりますように」「あなたが幸せになりますように」と心から祈る
4.自分自身にも、「健康になりますように」「幸せになりますように」と祈る

瞑想になじみのない方でも、上記の方法なら簡単に実践できるはず。オキシトシンの分泌を増やすため、ぜひチャレンジしてみてください。

引用元:https://studyhacker.net/what-is-oxytocin